2015年5月29日金曜日

◇防蟻強化月間〜しろありの種類と対策〜

blog更新が大変遅れお詫びします。
5月は防蟻月間ということもあり、既存住宅の駆除のお話も多くありました。
4月に雨が多かった為、新築も後半は和歌山から香川まで飛んで回りました。

一般に日本国内で一番見掛ける頻度の高いヤマトシロアリの群飛シーズンが
GW前から明けに掛けてのため、羽蟻が飛んだ、羽が落ちてたとのご連絡が
最も多くなるのがこの時期です。

一方で、在来種であり昆虫類でも最強の耐性と言われる獰猛なイエシロアリは
こちらは6月から7月に掛けて群飛、すなわち愛のランデブーを行います。

イエシロは100万頭単位でコロニーを作りますので被害も甚大になりがちです。
こちらは西日本の太平洋沿岸部が多かったのですが北関東まで進出しています。

長期優良住宅スタディチームでは仙台や新潟も警戒エリアの範疇に入れてます。
高気密高断熱住宅でしたら尚更警戒が必要です。これは以前にも書きました。
ちなみに同じホウ酸でも薄いものだと効きません!濃度と量がモノを言います。

で、その次に耳にすることの多い、外来種のアメリカカンザイシロアリですが
こいつの群飛は7月から9月と言われますが、年中通じて飛ぶことがあります。

そもそもが地下しろあり(ヤマトとイエ)のように水を必要とはしませんので、
文字通り乾材でも何でも平気で食べます。というよりヒノキがむしろ大好物!

更に厄介なのは、飛んできてどこからでも入る可能性があることもなのですが、
一度入ると駆除のハードルが相当高い。その為、まず初期発見が鍵になります。

アメカンの特性として、一軒の家の中でどんどんコロニーを作っていくという、
地下しろありとは異なる動きをします。つまり群飛に気付きにくいということ。
発見の鍵は独特な粉粒なのですが、これも蹴り出し穴も小さく気付きにくい。

気づかないと新築でも平気で喰われ続けますから。最大限の警戒が必要です。
といっても大げさなことではなく新築時に全構造材をホウ酸処理すればOK。
事実ハワイでは州法での義務化により、イエシロ含め被害が無くなっています。
しろありの居ないスウェーデンですら腐朽菌対策でホウ酸処理がされています。

さて、当方の考えるアメカンの警戒エリアですが、既に発生エリアの周辺部は
言うまでもありませんが、港や海、湖、川、主要幹線道路などが近いのも注意。
米軍関係施設や空港等は勿論です(そもそもがそこからとも言われています。)

アメカン自体は自力で飛来できる距離は15m程度、風に乗ったとしてもせいぜい
100m程度と言われますので、上陸して30年にはなりますが、爆発的に増えるに
至っておりませんが、静かに、浅く、広く、蔓延しているのが実情です。


京都大学の生存圏研究所のしろあり権威、吉村教授も、アメカン対策としては、
「ココらへんはまだ大丈夫は通用しません!」とハッキリ仰られています。
北陸や東北でも被害が確認されていますので寒冷地云々もアテニナリマセン。
(隣家のリサイクル家具やアンティーク家具などは警戒しようありませんから)

いざ出て被害に遭っても誰も守ってくれません。自分の家は自分で守りましょ。
そしてつくり手の方々もリスクを知りながらそれを伝えないのはヤメましょう。
最低限でも、予防策としての対策方法が既にあることは知っておいてください。

よくわからない方は当社か日本ボレイト本部までコンタクトください。

ホウ酸以外の薬剤を駆除でも予防でも家中に撒くのは現実問題として不可能です。
(これは基礎断熱でも同じことを申し上げましたが。)
中古住宅の場合、被害に遭いやすい小屋裏等へのダスティング処理も有効ですよ。
ちなみに明日も阪神間某所で調査です。

https://www.facebook.com/amanojimusho

http://www.city.hiroshima.lg.jp/www/contents/1267168877613/index.html

2015年4月11日土曜日

パッシブハウスジャパン勉強会へ参加しました

昨日はパッシブハウスジャパン近畿支部の定例勉強会にて
パッシブレベルの防蟻と銘打って僭越ながらお話しました。

防腐防蟻、劣化対策は総合的・重層的に行うべきものであり、
文字通り針の一穴から、しろありも結露リスクも発生します。

特に高断熱・高気密住宅ではエリアを問わず注意が必要です。
事実イエシロアリは北関東エリアでも鋭意北上中、拡大中。

アメリカカンザイシロアリに至ってはもう予防しかありません。
一たび食われた1軒の被害が、周囲近隣に壊滅的に広がります。

床下や小屋裏への各種通気工法、基礎断熱、床下エアコンも
通常の薬剤は不可で、安心安全な防腐防蟻がマストとなります。

加圧注入処理材やベイト工法など巷の各種防蟻手法についても
各々の問題点だったり留意すべき点をお話いたしました。

PHJ中心の猛者の方々には物足りなかったかもしれませんが、
写真や動画など被害実例も取り上げさせていただきました。

WHYホウ酸、WHYボロンdeガード、そこには理由があります。
 判断基準・・・品質、濃度、商品管理、責任施工、マニュアル、雨対策、保証、社風等

アメリカカンザイシロアリ含めたシロアリ被害で苦しむ方が
これ以上出ないことが我々の願いでもあり、究極の目的です。

そしてライフサイクルコストの低減、高性能でかつ高耐久な
住まいが増え、皆が俺の家は高性能高耐久と謳ってくれること。

懇親会では近畿支部の方々とお疲れ様で美々卯のうどんすき!
いやー、最高でした。ありがとうございました。



2015年3月3日火曜日

KKSKイベントと、ホウ酸屋さん.comほか

今回は宣伝ばかりです。笑

【その1】
3/11(水)にK.K.S.K.健康快適省エネ住宅研究会in関西で1周年イベントを行います。
あの、西方設計の西方里見先生(当会名誉会長)と
あの、松尾設計室の松尾和也先生(当会会長)との
ビッグ対談です。

http://sa5380.wix.com/kansai#!news/c1y6e

https://www.facebook.com/events/764105897030881


【その2】
ホウ酸屋さん.comという販売サイトを立ち上げました。
エンドユーザーの方にもお気軽にご利用いただけます。
どうぞご利用ください。

borate.buyshop.jp


【その3】
それから日経BPさんと先日ご面談させてもらいました。
日経ホームビルダーの記者の荒川さんと編集長の桑原さん。

リンク先のセミナーはプロ向けですが、関西でも同様のセミナーを
ご一緒に行えないかという有り難いお申し出でした。

http://kenplatz.nikkeibp.co.jp/article/building/news/20150218/692370/

ちょうど基礎断熱のことなど前回のブログでも挙げたばかりなので
ご面談時もお話が相当盛り上がりました。

結露問題や劣化対策は気密防湿、断熱、防蟻が横断的に関わります。
特に温暖地の関西ではこのあたりの検証は必須です。
安易な基礎断熱や安易な床下エアコン採用だと怪我をしかねません。

余談ですが、盛岡の住まい環境プランニングの昆さん・古川さんの
フルリノベーション現場も昨年ホウ酸施工に入らせて戴きましたので
昆さんご掲載中記事でも来月あたりご紹介いただけるかもしれません。

【その4】
森建築設計の森さん(森みわさんと同じ名字でパッシブハウスジャパン
メンバーでも実際いらっしゃいますが、森健一郎先生で別人です)から
小笠原諸島で設計計画中のペンションについてのホウ酸処理のご相談を
戴いております。これも物凄くチャレンジングなもので武者震いします。

【その5】
有限会社天野事務所が設立10年目に突入しました。

というわけで日々の業務の中にもなんだかバタバタとしておりますが、
全ては住まい手のため、大切な住まいの劣化対策に頑張って参ります!
ご声援よろしくお願い致します。

2015年2月24日火曜日

基礎断熱の是非について〜防蟻面から〜

基礎断熱について、FB上でもブログにまとめてほしいとのお話があり
今回整理の意味でもまとめたいと思います。

基礎断熱とは床断熱のほぼ対義語と考えて戴いて良いかと思いますが
床断熱というものは、土台や大引の間に主にボード状の断熱材を挟む、
一般の住宅で多く見られる工法です。

まず防蟻面で言えば、基礎断熱よりも床断熱の方が、基礎から断熱材が
離れている分、有利ではあります。
一方、温熱面では、気密処理が難しい(出来ないというわけではなく)、
特に配管周り・水回りなどの処理の難易度が高くなります。

基礎断熱でも、基礎の外側から断熱する基礎外断熱と、基礎の内側から
断熱する基礎内断熱に大別されます。温熱面だけで言えば、基礎外断熱が
理想とされていますが、コスト面と、主に防蟻上の理由から基礎内断熱を
選択される方も多いです。

温熱的に言えば、基礎外断熱が最も有利なのですが、防蟻上では逆です。
基礎外断熱材の吟味から始まり、検証すべき内容が非常に多くなります。
逆に床断熱は、温熱面では不利になりやすいのでその気密化も重要です。
古い住宅などでは、床下から覗くと断熱材が部分的に落ちていたりも...

さて、パフォームガードという、12000ppmともいわれる高濃度ホウ酸を
EPSというボード断熱材の製造工程で練りこんだ防蟻断熱材があります。
アメリカでは唯一、基礎に使える断熱材として認定、販売されています。

同じく、Do-All-Plyという、ホウ酸入りのシーリング剤も有り、断熱材
同士や基礎との合わさ、つなぎ目を処理するのなどに使います。
(上記商品はいずれも当社で取り扱いをしております。)

温熱のことに関しては、私は専門というわけではありませんので、どの
工法を選ばれるかは設計と施工次第とだけ申し上げさせていただきます。
ただ、防蟻の観点からすると、幾つか気になる点があります。

まず、断熱材について、これは基礎外断熱は絶対、基礎内断熱についても
ぜひ防蟻断熱材を使っていただきたいという点です。もちろん床断熱でも
ご使用を推奨いたします。(ちなみにスタイロフォームATという商品には
ネオニコチノイド農薬が使われておりますので、おすすめはいたしません)

これは気密化された、いわゆる高断熱・高気密の建物であればあるほど、
一旦シロアリが入ると、温熱的に良好でブルーオーシャンとなるからです。
その時に防蟻断熱材でないと、ボード状の断熱材は齧りやすくしろありの
大好物なので際限なく食われていく羽目にもなりかねません。

次に、配管です。まず基礎の底盤から土壌に抜ける配管は非常に危険です。
必ず配管は基礎立ち上がりから横に、抜くようにしていただきたいです。

そして配管周り、ここの処理を徹底していただきたいのですが、高気密を
手がける方ほど、ここの部分に気密化のために、一液性の発泡ウレタンを
噴かれやすいです。 ここに先ほどのDo-All-Plyか、あるいは次善策として
防蟻タイプの一液性の発泡ウレタンを使って噴いていただきたいのです。
無収縮のモルタルを穴埋めに使われるのも一つの手だとも思います。
そして、さらに加えてボロンdeガード工法のホウ酸溶液処理を重ねて行う。
これにより安全性が飛躍的に高まります。 当社では、本来はあくまでも
木部処理ですが、基礎の立ち上がりや底盤も極力掛かるように処理します。

高断熱化・高気密化により、防腐・防蟻への要求はよりシビアになります。
まず床下含め屋内空気を汚してはいけない。さらに結露やカビのリスクとも
対峙をしなければならない。そしてなによりシロアリ対策を徹底しなければ
なりません。何となれば床下の温熱環境の改善はシロアリの生息を容易にし
事実イエシロアリあたりは日本列島でも北上の一途をたどっているわけです。
床下エアコン始め、床下を温めることで、逆におびき寄せかねないですから。

一方、土壌処理については、効果もなくなるため可能な限りしないほうが
環境面からは良いのですが、例えばイエシロアリの要警戒エリアなどでは、
防湿シート代わりにフクビのアリダンシートあたりを材料のみ使用するのも
アイデアかもしれません。実際にお客様の有名建築家のM先生がお使いです。
スラブ下への施工で、環境負荷もごく最小限と考えられるからだと思います。

当社でも3月1日より、防蟻タイプ一液発泡ウレタンの取り扱いを開始する
予定です。(詳細はお問い合わせください。) 防蟻は総合的、重層的に。
この辺で良いかと考えずに徹底いただきたいものです。イエシロなめんなよ。
雨樋を伝って二階のベランダのエアコンのスリーブ穴から入っているような
酷いケースもありますから... アメリカカンザイシロアリもこわいのですが、
ハワイが州法で全構造体処理を義務付けているのもイエシロが猛威を振るう
からともいわれています。アリゾナのように家がいきなり崩れるケースも...

そもそもイエシロアリはお隣の台湾由来です。英語では "formosan termites"
ヤマトシロアリにイエシロアリ、アメリカカンザイシロアリに、離島では
ダイコクシロアリ、その他カンモンシロアリなど日本は皆さんの想像以上に
シロアリ天国なんです。最大限の注意を是非とも払ってください。
そして、ホウ酸濃度、処理量にも最大限のご注意を。類似品には要注意です。

2015年1月19日月曜日

何年目の耐震性能なら満足ですか?

阪神淡路大震災から、20年が過ぎ、21年目となりました。

直接間接を問わず未曾有の激震でお亡くなりになられた方々に
謹んでお悔やみ申し上げるとともに、二度とこのような被害が
起こらないことを祈るばかりです。

この間、年末年始のバタバタでブログ更新が遅れ失礼しました。
これまでどおり。すべては住まい手のため、住まいの劣化対策
業務を通じて日々感じた想いを書き記して参ります。

さて、テーマにするのは心苦しいのですが、住まいの耐震です。
私は構造の専門家ではないですが、建築基準法どおりの耐震性、
すなわち新耐震ないし耐震等級1で十分でないとは想像します。

では耐震等級2なら大丈夫かというと長期優良住宅(等級2)
の実働実験で倒壊したデータ(動画)があります。

やはり構造計算(許容応力度計算)を入れて可能なら等級3を
目指すのが本来だと思います。ただし寒冷地などでは積雪荷重
から等級3までは難しく等級2止まりのケースもあるようです。

で、阪神淡路の話に戻しますが、倒壊家屋の相当程度に蟻害や
腐朽が見られたそうです。木部の2大劣化要因が、しろありと
腐朽菌であることから、木部劣化対策は耐震性能に直結します。

実に倒壊家屋の7割近くにも食害が認められたそうですので。。

耐震性能にせよ、気密性能にせよ、将来に亘って担保するのに
木部の劣化対策は必要不可欠です。グスグスの、スカスカでは
耐震も気密もへったくれもあったものではありません。

ヒートショックで住まいで人が亡くなるのは悲しいことです。
住まいとは住まい手とその家族に健康快適を提供、享受させる
ことこそが第一義であるべきだからです。

同様に地震で建物が原因で人が亡くなるのは哀しく恐ろしい。。

新築でも、リフォームでも耐震が謳われて久しいですし、実際
震災後はツーバイフォー工法が増えたり一般的な分譲住宅でも
耐震等級3を取得済みの物件はそれほど珍しくはありません。

でも、それはあくまで新築時の話です。引渡し時点の話です。

一般的な木造建物がしろあり被害に逢うのに平均13年とのこと。
すなわち13年も経てば何かしら耐震性能にも影響が出ていると
考えるべきではないでしょうか。実に倒壊物件の7割ですから。。

では、築13年、一般的な薬剤で保証も切れ、効果も切れていて
再施工も費用を惜しんで行われていないことも多々あるでしょう。

いつまでも再施工させられるのも実際のところ考えものですから。
皆が皆、几帳面に、馬鹿正直に?、業者のいいなりとは限らない。
そもそも床下はまだしも、壁体内や小屋裏などはどうするのか。。

築13年以降の耐震性能、それこそが実際問われるべき性能です。
築13年以降の耐震性能を考えた住まいづくりをされてください。